ナイロンと相反する特性が、
フロロカーボンの魅力


初めてフロロカーボンの素材が、釣りの世界に登場してきたのは昭和47年。同じモノフィラのナイロンとは違った特性を持ち、以後、徐々に釣人の間で支持を集めてきて今日に至った。今や、フロロカーボンの釣糸は、ナイロンとは違った特性を持つ素材の糸として、確固たる地位を築いている。このフロロカーボンはフッ素系樹脂繊維であり、ポリフッ化ビニリデンなどを原料として造られている。フッ素以外の物質とは混ざりにくい性質を持ち、ことナイロンとは水と油のような相性で、この2つがブレンドされることは不可能なのだ。現在もこの2つの素材が完璧にブレンドされた釣糸は、世には出ていないのが現状なのである。
フロロカーボンの特性といえば、まず比重が重いことが特徴である。ナイロンとPEの通常の比重は、前者が1.14で後者が0.97。それに比べて、フロロカーボンは1.78もの比重がある。沈降速度が速く、軽い仕掛けも素早く狙ったタナまで沈ませることができるのだ。また、比重が重い方が、潮流など水の流れの影響を受けにくいメリットも生まれる。
素材自体の持つ透明度は、ナイロンに比べると落ちる。ただし、フロロカーボンの糸を水の中に入れると、水の色と同化して、水中では見えにくくなるのだ。魚の警戒心も、いたずらにあおることはない。
吸水性はほとんどない。吸水性を%で表す吸水率で比べると、ナイロンが8〜10であるのに対し、フロロカーボンは0.01しかない。長時間水に浸していても吸水することなく、ひいては引っ張り強力を低下させるようなことはない。また、吸水しない性質は、糸表面のはっ水性も向上させ、水切りのいいラインともいえる。
耐光性も優れている。紫外線の連続照射1000時間でも、その強さは全く劣化しないのだ。耐光性では、それに優れていると定評のPEとほぼ同じレベルなのだ。吸水性がほとんどゼロ、耐光性に関しても強力の低下はほとんどみられず、劣化の少ない素材の釣糸だ。
さて、フロロカーボンの一番の特徴なのが伸度だ。伸びの少ない素材といわれているが、実際は適度な伸びはあり、伸度を%で表すとナイロンが20〜45%に対してフロロカーボンは17〜37%。PEが4%前後ということを考えれば、フロロカーボンが極端に伸度の低い釣糸ではないことがわかる。しかし、多くの釣人が伸びのないラインとして、その特性を気に入って使っているのも事実だ。では、なぜ多くの釣人がこれほどまでに伸びの少なさを感じるのかといえば、ずばり初期伸度の低さなのである。言いかえれば初期弾性率が大きいためなのである。
つまり、小さい荷重では伸びないのである。アタリや海底・湖底の凹凸など微妙な変化は決して大きな荷重ではない。微妙な変化を察知する荷重の小さい状況では、伸度が低いために、こと実釣では伸びのなさを実感するのだ。


フロロカーボンの魅力に
隠された、デメリット


フロロカーボンは硬い釣糸といわれる。これは分子配列が縦方向に配列された単純構造であるために、硬くなってしまい、リールのスプールへの馴染みが悪く一方向にクセがつく、いわゆる巻きグセが付きやすい欠点があった。ところが、最近では柔軟加工を施されたタイプも出ている。ただ、柔軟性をだすことで伸度もあげてしまうことがあり、フロロカーボンの一番のメリットである初期伸度を損なうリスクがある。
また、フロロカーボンは耐摩耗性に富んだ素材、ともいわれるが、実際のところ擦れる状況やその対象物によって、ナイロンやPEよりも弱くなる場合がある。一概に、フロロカーボンは耐摩耗性が強いとはいいがたい、という特性もあると言うことを覚えておいてほしい。
また、耐吸水性・耐光性に富んでいるので、腐敗しないため、自然環境には良くないのが、このラインの大きなデメリットなのだ。


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比重が重いのと経時劣化
しにくいフッ素経繊維

フロロカーボンは、釣人を納得させる特性がトータルバランスで優れた素材といえよう。しかし、決して欠点がないわけではない。素材が硬くリールのスプールの馴染みが悪いなどの欠点もあるのだ。言い換えれば、クセのある素材ともいえよう。この釣糸を使いこなすには特性をしっかりと知り、長所短所をよく把握しておくことが大切だ。

ノズルから押し出されたラインは、一本の糸となりローラーによって送り出されていく。その光景は、一見ローラーの間に糸が張られているようではあるが、ラインは一定方向に流れている。

ラインの強力を計る測定器。測定器のつまみの上下にラインを固定し、ゆっくりと荷重をかけて引っ張る。そして、そのラインが切れた荷重の数値が、引っ張り強力になる。